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第6回全国高等学校情報教育研究大会(京都大会)参加した。
収穫したことについてコメントする。
■1.基調講演
西垣通先生の講演「文と理をむすぶ情報教育-基礎情報学からのアプローチ-」であった。印象に残ったことをメモに残す。
A.集合知定理
集合知による推定を行う場合、個人の推定が正解に近く(=平均個人誤差が小さい)、
分散地が大きい場合、分散が個人の誤差を帳消しにしてくれるというもの。式としては以下の通りであり、数学的に証明されているとのこと。
集団誤差=平均個人誤差-分散値
直観と一致するので分かりやすい。
B.集合知を活用するには
集合知を活用するには、単純な投票が不向きな場合がある。カスパロフ対ワールドにおいて、ワールド側はネットワーク上でリーダーを中心に議論をしてから手を決めていたそうだ。選択肢の設定そのものを議論で決めた後に投票するのが定石とのこと。
■2.ライトニングトークセッション
おそらく、日本における情報教育イベントでは初のライトニングトークセッションだろう。3分間入れ替え制で、ポスターセッションや分科会の告知をしていた。聞き手としては楽しめたのだが、何点か課題が見えた。
- 割り当て時間は2分で十分だと思う。ロングバージョンのCMが1分30秒程度であるから、機器接続時間を含めると2分交代の方がテンポが良いだろう。
- プログラムに記載されている順で発表するべきだ。参加者は分科会やポスターセッションの選択を迫られている。聞き手を混乱させないために、ライトニングトークの順番には気を使うべきだ。
- 発表者はスライドの最初と最後に「氏名、所属、発表タイトル、時間、場所」が分かるようにするべきだ。これも聞き手の意思決定をスムーズにするためには必要な情報だろう。
■3.ポスターセッション
数ある中で最も興味深かったのが『情報教育における「情報活用の実践力」育成のための教材(樋上和伸/関西大学)』であった。実質的にはワークショップセッションで、断片的な4つの情報を5人持ち寄って大きさ順にカードを並べるもの。
説明によると授業の導入で使用して、情報科の授業で学ぶことを説明するそうだ。教材としてはコミュニケーショントレーニングの流れで構築されたものであり、アンプラグドからではないらしい。
教材として完成度が高く、活用方法は他にもありそうだ。自分であれば、シャノンの情報量を教えた後に、手札の情報量を考えさせるかもしれない。理詰めで物事を進めるときに、条件が厳しい(≒確定的)なことから解決するのが基本であることを実感できる良い教材だと感じた。
■4.分科会
悲喜こもごも。
一番の収穫。
『情報を活用し情報社会に参画するためにデータベースを科学的に理解する学習(長谷川友彦/近江兄弟社高校)』である。プレゼンテーションが圧倒的に上手い。開講科目は社会と情報なのだが、データベースを扱うところが挑戦的で素晴らしい。授業ではコンビニの売り上げデータベースを例に、生徒に正規化的なことを考えさせたそうだ。収穫いろいろ - 日本情報科教育学会第6回全国大会でもあったように、データベースの理解・アンプラグド。
残念だったこと。
質疑応答が2本に限定されていたこと。
ポスターセッション・オーラルセッションいずれの場合でも、プレゼンターと聴衆の交流が大切である。1発表に25分撮っているのだから、4本ぐらい質疑応答ができるような時間配分が良いと思う。13分発表+10分質疑応答+入れ替え2分はどうだろうか。
■5.これから
閉会式で今後の予定が紹介された。
- 第7回全国高等学校情報教育研究大会
2014年8月8日(金)9日(土)or 9日(土)10日(日)or 10日(日)11日(月)
東洋大学川越キャンパス(予定)
- 第8回全国高等学校情報教育研究大会
2015年8月
九州地方(現在調整中)
o(^▽^)o 楽しみだ!
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