「社会と情報」は大学入試センター試験の出題科目になりえるか その4
日本情報科教育学会が「大学入試センター試験の出題科目についての要望」(PDF)を独立行政法人 大学入試センター文部科学省 高等教育局大学振興課大学入試室に提出した。
- 「社会と情報」は大学入試センター試験の出題科目になりえるか その1
- 「社会と情報」は大学入試センター試験の出題科目になりえるか その2
- 「社会と情報」は大学入試センター試験の出題科目になりえるか その3
これらに引き続き、「社会と情報」はセンター試験の出題科目になりえるかについて扱う。
私の結論を確認する。
結論 (;´・д・)。o○(まだ、無理じゃね?)
不向きまたは時期尚早である点を、「社会と情報」に注目しながら3つ述べてみる。
一つ目は、「社会と情報」が情報関連学部・学科の教育内容の基礎になっていないという疑問だ。情報科学系(≒工学系)の基礎と言うのであれば、「社会と情報」の内容では不足または不一致だろうし、むしろ「情報の科学」の方が向いていると言える。「情報の科学」の内容がいわゆる問題解決が中心である事を考えると、こちらが情報科学系の基礎に向いているかどうかは疑問ではあるが。
二つ目は、情報社会学系の基礎と言うには「社会と情報」の内容は不足しているのではないかという疑問である。著作権やプライバシーなどの法的理解やメディア論などの社会学的な理解、ICT技術が実体経済に与えた経済学的な理解など、社会科学・人文科学系の情報関連学部・学科の基礎学力になる程の内容ではないと感じている。
三つ目は、社会学系・人文科学系における情報に関する基礎学力を身につけさせるだけの力量が現場の情報科教員にあるのかという疑問だ。情報の多くの教員は現職教員講習会で情報科の免許 を取得しており、その元教科は数学と理科で大半を占めている。社会学系・人文科学系の素地がほとんどないところから授業を構築しているのだから、かなりの疑問がある。事実、社会学系・人文科学系の授業実践報告は極めて少ない。
以上により、「社会と情報」をすぐにセンター試験の出題科目にするのは無理があり、時期尚早だと考える。
で、「情報の科学」などうかって?
(´・ω・`) 聞かないで・・・
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