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2012年1月 6日 (金)

情報デザインの授業につながる - アフォーダンス-新しい認知の理論

(T)

東京学芸大学附属高等学校で行われた第10回公開教育研究大会の講演会で「環境と身体の心理学-アフォーダンス理論から教育を考える-」を佐々木正人先生から拝聴する事が出来た。

そこで紹介された参考図書が「アフォーダンス-新しい認知の理論」である。

アフォーダンスというキーワードは今一つ近寄りがたい存在だったが、本書のおかげで片鱗をうかがい知ることが出来た気がする。

「社会と情報」に関係しそうな部分を紹介する。

1.不変項

この本を読んで、「人の知覚は動きが大切である」と自分は理解した。その後半部分に出てくるキーワードである。重要な部分を引用する。

 光点の知覚研究では、身体という面を構成しているキメや色など、ふつうは豊富に存在する包囲光配列の他の特徴を全て排除して、「人間」という対象を構成している基本的な面の構造的な変形だけを提示しているわけである。わずかな配列の変形だけでも、「不変項」はよくピックアップされるのである。

アフォーダンスー新しい認知の理論 P.51

この後、ギブソンの後継者が不変項を構造不変項(=同一性の知覚)と変形不変項(=変化することの知覚)の2種類に分類する事を提案したとある。

光点の知覚研究を「社会と情報」で直接的に取り扱う事は考えにくいが、指導のバックボーンになると考える。例えば、プレゼンテーションにおけるジェスチャーやスライドなど、視覚的な情報伝達には直接的に関わる内容だと言える。

2.アフォーダンス

そして、アフォーダンス。

(前略)

アフォーダンスとは、環境が動物に提供する「価値」のことである。アフォーダンスとは良いものであれ、悪いものであれ、環境が動物に与えるために備えているものである。

(中略)

アフォーダンスは事物の物理的な性質ではない。それは「動物にとっての環境の性質」である。アフォーダンスは知覚者の主観が構成するものでもない。それは環境の中に実在する、知覚者にとって価値のある情報である。

アフォーダンスー新しい認知の理論 P.60, 61

アフォーダンスに関してはノーマンの誤用が有名であり、むしろ誤用の方が浸透している感がある。どちらの意味で使うかの是非はさておき、本来の意味を知る価値は高い。32ページに登場する動きに「姿勢」を見るとのつながりが見えると理解しやすいと思う。

「動物にとっての環境の性質」という表現は、先と同様に情報デザインで扱える可能性がある。具体的な教材や実用的な方法に関しては教材研究が必要だが、本質を知っていると教材の質が異なってくると考える。

デザインに関しては以下を引用する・、

 ドナルド・ノーマンは『誰のためのデザイン?』(野島久雄訳、新曜社(1990))の中で、道具はそれを使ってどのような行為を行うことができるのかがわかるようにデザインしておくこと、コンピュータによるシステムの設計もそれが何を阿フォードしているのかが、よく「言えるように」しておくことを提案している。一言でいえば、「物」ではなく「リアリティ」を、「形」ではなく「アフォーダンス」をデザインすべきだということである。

アフォーダンスー新しい認知の理論 P.104, 105)太字は著者

情報デザインに関する授業をするときに、色合いや配色、オブジェクトの配置などに注目する事は大切なことである。具体的な内容が無ければ、生徒は何を学べばよいか分かりにくいからだ。しかし、「物」や「形」にこだわり過ぎると情報デザインの本質を見失う。

生徒達に教える情報デザインに「リアリティ」と「アフォーダンス」が含まれることと、「リアリティ」と「アフォーダンス」を教えることが両立出来れば理想形だろう。アフォーダンスを内包する教材研究の必要性を感じた。

■まとめ

情報の授業に「リアリティ」と「アフォーダンス」があれば、世間は情報科を好意的に認知してくれるかもしれない。日々是精進である。

:-P

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