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2013年5月20日 (月)

情報科教員の教養科目 - 記号論への招待

「記号論」はキーワードとしは知っていたが、なかなか手が出なかった分野であった。国語科の教員に相談したところ、紹介されたのが『記号論への招待』である。

言語学を起点に書かれているので、遠く離れた門外漢にはかなりの難関であったが、読破した。「社会と情報」に関係しそうな部分もメモで残す。

1.「対立」と「中和」(P.115~)

情報とは何かという議論では、他の者との差異に注目することが多い。西垣通の定義(パターンをうみだすためのパターン)であっても、シャノンの定義(-log_2 P)であっても、差異に注目している。

記号論への招待』では「対立」という概念で差異が登場する。以下に引用してみる。

示唆的特徴*の前提となっているのは、二つの記号がその記号内容の規定に関していくつかの共通の特徴を有している上で、それぞれ異なる特徴を併せ持つことによって相互に区別されているという状況である。一般にこのような関係にある時、二つの記号は相互に「対立」するという。「対立」の概念には、【共通】性を踏まえた上での【差異】という意味合いが含まれているわけである。

示唆的特徴* 記号同士の差異を規定するものとして機能している特徴のこと

記号論への招待』P.114-115 【 】は傍点

赤太字…著者注

具体的な事例としてfather(父親)とmother(母親)が示されていた。この場合、「親」という共通性を踏まえた上での「性別(父、母)」という差異が見いだせることになる。

情報の本質が差異である事を示しているが、「共通性という土台の上での差異」であることが指摘されている。これは暗黙知として何となく理解していた事柄だけに、明文化された事が大きな収穫だ。

2.表示義(デノテーション)と共示義(コノテーション)(P.120~)

書籍では、<ばら>には花の薔薇という普通の意味作用があると同時に、<愛>という意味の意味作用があることが示されている。説明個所を引用してみる。

まず第一のレベルで、rose が<ばら>という記号内容を通じて意味作用を行う。この場合の記号内容が「表示義」である。次にすでに<ばら>という記号内容を含む rose という記号全体が記号表現となり、それが新しく<愛>という記号内容を得て、より高次のレベルで意味作用を行う。この場合の記号内容が「共示義」である。

記号論への招待』P.120-121

私は、「言葉には文字通りの意味作用(表示義:デノテーション)」、「言葉に含まれたメタ的な意味作用(共示義:デノテーション)」と理解した。

プレゼンテーションにおけるワーディングの指導につなげられるかもしれない。内容の抽象度を考えると、選択科目向きかもしれない。

■雑感

第IV章(最終章:記号論の拡がり)では、文化記号論への展開が少しだけ紹介されている。情報社会を学習ターゲットとしている「社会と情報」は、いわゆる記号論というよりも文化記号論の方に接点があると考える。

直感的にはマーシャル・マクルーハンの名言”The medium is the message.”との関連で「社会と情報」の社会情報学的な授業の展開に結び付きそうだ。

「社会と情報」にはどんなコノテーションがあるのだろう・・・

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