研究会・学会【報告】

2013年8月11日 (日)

みんな熱心ダナー - 第6回全国高等学校情報教育研究大会(京都大会)

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  • マダカナー

第6回全国高等学校情報教育研究大会(京都大会)参加した。

収穫したことについてコメントする。

■1.基調講演

西垣通先生の講演「文と理をむすぶ情報教育-基礎情報学からのアプローチ-」であった。印象に残ったことをメモに残す。

A.集合知定理

集合知による推定を行う場合、個人の推定が正解に近く(=平均個人誤差が小さい)、 分散地が大きい場合、分散が個人の誤差を帳消しにしてくれるというもの。式としては以下の通りであり、数学的に証明されているとのこと。

集団誤差=平均個人誤差-分散値

直観と一致するので分かりやすい。

B.集合知を活用するには

集合知を活用するには、単純な投票が不向きな場合がある。カスパロフ対ワールドにおいて、ワールド側はネットワーク上でリーダーを中心に議論をしてから手を決めていたそうだ。選択肢の設定そのものを議論で決めた後に投票するのが定石とのこと。

■2.ライトニングトークセッション

おそらく、日本における情報教育イベントでは初のライトニングトークセッションだろう。3分間入れ替え制で、ポスターセッションや分科会の告知をしていた。聞き手としては楽しめたのだが、何点か課題が見えた。

  1. 割り当て時間は2分で十分だと思う。ロングバージョンのCMが1分30秒程度であるから、機器接続時間を含めると2分交代の方がテンポが良いだろう。
  2. プログラムに記載されている順で発表するべきだ。参加者は分科会やポスターセッションの選択を迫られている。聞き手を混乱させないために、ライトニングトークの順番には気を使うべきだ。
  3. 発表者はスライドの最初と最後に「氏名、所属、発表タイトル、時間、場所」が分かるようにするべきだ。これも聞き手の意思決定をスムーズにするためには必要な情報だろう。

■3.ポスターセッション

数ある中で最も興味深かったのが『情報教育における「情報活用の実践力」育成のための教材(樋上和伸/関西大学)』であった。実質的にはワークショップセッションで、断片的な4つの情報を5人持ち寄って大きさ順にカードを並べるもの。

説明によると授業の導入で使用して、情報科の授業で学ぶことを説明するそうだ。教材としてはコミュニケーショントレーニングの流れで構築されたものであり、アンプラグドからではないらしい。

教材として完成度が高く、活用方法は他にもありそうだ。自分であれば、シャノンの情報量を教えた後に、手札の情報量を考えさせるかもしれない。理詰めで物事を進めるときに、条件が厳しい(≒確定的)なことから解決するのが基本であることを実感できる良い教材だと感じた。

■4.分科会

悲喜こもごも。

一番の収穫。

『情報を活用し情報社会に参画するためにデータベースを科学的に理解する学習(長谷川友彦/近江兄弟社高校)』である。プレゼンテーションが圧倒的に上手い。開講科目は社会と情報なのだが、データベースを扱うところが挑戦的で素晴らしい。授業ではコンビニの売り上げデータベースを例に、生徒に正規化的なことを考えさせたそうだ。収穫いろいろ - 日本情報科教育学会第6回全国大会でもあったように、データベースの理解・アンプラグド。

残念だったこと。

質疑応答が2本に限定されていたこと。

ポスターセッション・オーラルセッションいずれの場合でも、プレゼンターと聴衆の交流が大切である。1発表に25分撮っているのだから、4本ぐらい質疑応答ができるような時間配分が良いと思う。13分発表+10分質疑応答+入れ替え2分はどうだろうか。

■5.これから

閉会式で今後の予定が紹介された。

  • 第7回全国高等学校情報教育研究大会
    2014年8月8日(金)9日(土)or 9日(土)10日(日)or 10日(日)11日(月)
    東洋大学川越キャンパス(予定)
  • 第8回全国高等学校情報教育研究大会
    2015年8月
    九州地方(現在調整中)

o(^▽^)o 楽しみだ!

2013年7月11日 (木)

沈黙した会場の中で - 日本情報科教育学会第6回全国大会 パネルディスカッション

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日本情報科教育学会第6回全国大会のパネルディスカッション情報科の役割と社会で求められる基礎的な力に参加した。

ポジショントークと学会長のコメントは教科「情報」に求められるものは? 日本情報科教育学会で議論で紹介されている。

パネルディスカッションについてコメントを残す。

1.ポジショントーク、そして

パネルディスカッションのテーマを踏まえ、各パネリストが「情報科に●●を求める」的な話をして、立場の違いを踏まえてディスカッションするのかと思いきや・・・

各自の立場の状況を説明

司会がまとめる

会場( ゚д゚)ポカーン

2.会場の座席で何かを叫んだ会長

ITProの記事によると

同学会の岡本敏雄会長は、「現在の日本の情報科は、教える内容がふわふわしている。一方で、ヨーロッパの国々ではきちんとしたカリキュラムを作っている。情報科としての中身を明確にしないと、教科の独自性を打ち出せない」と指摘した。

とある。会長は「くぁwせdrftgyふじこlp(伏字)」の勢いで以下略。

フロアからは「企業の人事担当者が教科情報の存在を知らないのなら、このパネルディスカッションは詰んでる的な何か?」との指摘。

しーん。

しーん。

しーん。

しーん。

しーん。

3.せめて、パネルディスカッションらしく

パネルディスカッションは、関係各所の体裁や面子を取り持つ場でもなければ、シャンシャン総会でもない。ましてや、仲良しクラブでは決してない。

パネルディスカッションは立場の異なるパネリストが主張を展開して、フロアの意見も巻き込みながら様々な考え方や実践の違いを認識する場である。

場合によっては激しく意見が対立することもあるだろう。ディスカッションの結果、新しい視点が得られたり、仲間ができたり、自分の仕事に活用されたりするものだと考える。

情報科に関するパネルディスカッションが活発になることを願う。

(;´Д`) モデレーターはできないけどナー

2013年6月30日 (日)

収穫いろいろ - 日本情報科教育学会第6回全国大会

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日本情報科教育学会第6回全国大会に参加した。

収穫したことについてコメントする。

1.カードを用いた加算の学習

間辺広樹先生の発表「『コンピュータの計算原理』を理解させる体験的な学習法を教材の考察」の中で、カードを用いた二進数の加算学習が紹介されていた。使用法の概要は以下の通り。

  1. カードの表に「1」裏に「0」を印刷したカードをたくさん用意しておく。
  2. 4桁の二進数を筆算と同様に2列で並べる。
  3. その下の列に加算の結果を小さい位から並べていく。

これがなかなか優れもの。操作をしながら加算を学ぶのは、小学1年生の算数と同じ要領だと感じた。注意点は、操作の記録が残らないこと。

情報の授業だけでなく、数学Aの授業でも活用できそうだ。

2.データベースの授業展開

神藤健朗先生の発表「共通教科『情報』におけるデータベースの授業展開の方向性について」の実践が興味深い。その方向性は、いわばデータベース・アンプラグドといったところ。手書きでテーブルを第一正規化させているのには驚いた。

「社会と情報」というだけでリレーショナルデータベースを扱わないのは思考停止だと思い知らされた。個人的にはかなりショッキング。新課程の授業に向けて、データベースを扱うことを検討したい。

(*゚▽゚)ノ ヤリガイアルヨネ 

2013年3月19日 (火)

情報入試フォーラム2013

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情報入試フォーラム2013に参加した。

情報入試試作問題#001(PDF)解説

情報入試を2013年度入試でで終了する大学(愛知教育大学)

情報入試を2013年度入試から始めた大学(明治大学)

情報入試を2016年度入試から始める大学(慶應義塾大学)

様々な立場から報告や課題、抱負など様々な事が提示された。

どうしても気になった事をメモしておく。

■ 試作問題や質疑応答(試作問題#001(PDF)

情報科学に関する出題は、内容・形式ともによく練られていて参考になることが大半であった。

一方、社会科学に関する出題は情報科学に関する出題と比較すると数段見劣りがした。質疑応答のなかでも、明治大学側から「著作権に関する模擬問題の公表で、慌ただしい動きが何度かあった」といったような発言があった事も踏まえると、情報入試研究会や情報入試に関わる研究者の専門分野に偏りがあるのが窺える。

これは、「社会と情報」ブログとしては非常に気になるところだ。高等学校の授業に対する大学入試問題の影響力は非常に大きい。情報科学寄りの入試問題が主流になれば「情報=情報科学」といった明らかに誤った認識が定着するだろう。

情報社会は非常に複雑な社会である。情報科学の理解は情報社会の理解の必要条件であって十分条件ではない。「社会と情報」の大切さを織り込んだ情報入試になる事を希望する。

( ゚_゚ )本気ダヨ

2012年12月28日 (金)

日本情報科教育学会 設立5周年記念フォーラム(2)

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  • マダー?(・∀・)っ/凵⌒☆

日本情報科教育学会設立5周年記念フォーラム(PDF)に参加した。

フォーラムのメインイベントはパネル討論会。例によって討論では無かった事はお約束。

パネル討論会
テーマ:情報科教育学会の5年を振り返り次の5年を描く

進行
 西野和典(九州工業大学:本学会副会長)
登壇者
 池田勇(嘉麻市教育センター)
 鹿野利春(石川県金沢二水高校)
 柴田功(神奈川県教育委員会)
指定討論者
 岡本敏雄(電気通信大学大学院:本学会会長)

前回の公開会議と違い若返りまくり。

1.ポジショントーク(3名)

池田先生と柴田先生は今まで実践されてきた事の紹介が中心であった。柴田先生が公開している情報科授業ノウハウ集は業界ではあまりにも有名。裏話を聞くことができた。ただ、私学人の私には教育センターや教育委員会の役割は謎である。

鹿野先生は教育現場の実情が赤裸々な紹介をされていた。鹿野先生の情報担当は「あり⇒あり⇒あり⇒なし」だそうである。あまりにも残念。別件だが、プレゼンテーションがとても上手であった。

ポジショントークに関しては小泉力一先生がまとめ記事を掲載している。

 2.質疑応答

今回は様々な質疑応答があってよかったと思う。

(1)会長のコメント

会長が重要なコメントをしていた。それは「転移の幻想」というもの。これは例えば、「数学の能力が高い人は他の能力も高いといった幻想」の事だそうだ。「数学や理科が情報の学習の基礎となるので、高校で情報は不要なのでは」といった意見に対するコメントであるが、この意見も同様に重要である。

(2)ポジショントーク

ポジショントークでは「情報を1年生に設置して、情報で学んだ事を他教科に活かす」という手法が紹介されていた。フロアからは「情報を2年生に設置して、1年次に他教科で学んだ事を活用する可能性」について質問があったが、パネリストは現実的でないと回答していた。

「他教科に活用されるのが情報科の活路」という回答に対して私は否定的である。

理由は簡単。これでは教授内容が安定せず、親学問との接続も見えない。悪い言い方をすると、ただの便利教科になってしまうからである。

情報科には「内容教科」「用具教科」「技能教科」「生活教科」といった様々な側面がある。これらのハイブリッドが鍵であり、特定の側面に偏るのは危険だと考える。

 ・内容だけでは用途が見えない

 ・用具だけでは中身が見えない

 ・技能だけでは学びが見えない

 ・生活だけでは理論が見えない

情報科の授業は学際的な取り扱いが活路だと考える。

■懇親会

懇親会では関東・東北支部の立ち上げ集会についてアナウンスがあった。いよいよという感じである。現場の教員が中心となって活動するらしい。今後が楽しみだ。

☆―(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノ イエーイ

2012年12月27日 (木)

日本情報科教育学会 設立5周年記念フォーラム(1)

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  • マダー?(・∀・)っ/凵⌒☆

日本情報科教育学会設立5周年記念フォーラム(PDF)に参加した。

フォーラムに先立ち、情報学教育関連学会等協議会が開催された。学会等を会員とする協議会である関係上、個人の参加者は傍聴人となる。ちなみに、現時点での会員は以下の通り。

  1. 日本情報科教育学会
  2. 日本教育工学会
  3. 教育システム情報学会
  4. 情報処理学会
  5. 情報学教育研究会

当日は上記5団体これとは別にオブザーバーが3人出席した。

私は傍聴人として参加したのだが、発言できないのでストレスが溜まる一方だった。その中で印象に残っている事をメモに残す。

1)「活動あって学びなし」、「『できる』と『分かる』は違う」

情報科の授業に関する場面で出てきた2つのフレーズだが、これは注目に値する。一つずつ考えてみたい。

活動とは授業といパッケージ内における生徒の行動であり、学びとは生徒自身の内面的な学習である。

「できる」とは身体的な活動も含めた活動面であり、「分かる」とは理解の事だと言える。

これらを二軸展開すると次のようになる。

活動あり 活動なし
学びあり
学びなし
できる できない
分かる
分からない

この表の中に何が入るかは定かではないが、「活動があって、学びがある」や「できて分かる」というのはかなりの理想論のように思える。

2)親学問としての「情報学」

この話題は教科情報としては避けて通れないものである。公開会議の中でも教科情報の親学問の不在が指摘されており、これについての回答が重要である事も述べられた。当然のように、プログラミングやアルゴリズムの話は出たが、これについても賛否があるようだ。

ここで押さえたい点がある。それは、「親学問としての情報学は教科情報のために存在しているのではない」ということだ。

現在、教科情報と学問領域との関係性は不透明な状態だと考える。つまり、教科情報の親学問に対するコンセンサスは全くない状態だ。高校教員側からも、教科情報の親学問に関する回答をしても良い頃だと考える。

ちなみに、「教科情報の親学問は学際的である」と私は考えている。特定の学問分野を親学問とした場合、情報社会を総体として捉える事が難しくなる。情報社会は様々な事柄が複雑に絡み合った現代社会である。情報の授業も多角的に扱うのが良いと考える。

(詳細は「社会と情報」と関係の深そうな10の専門分野 ※ただし理工系を除く 参照)

★フォーラムの参加報告は次回エントリー★

2012年3月28日 (水)

2011年度 都高情研研究大会 参加報告

関連記事


(B)

東京都高等学校情報教育研究会 2011年度研究大会」に参加した。

リンク先には当日のプログラムが掲載されていないので、こちらで復元してみる。

講演:『著作権 過去から未来へ(著作権3.0~ソーシャル時代を迎えて)』
講師:大貫恵理子

専門委員報告

口頭発表(1)
・「普通教科情報における「肖像権」と「プライバシー観の変遷」に関する授業実践」
・「三原色と混色について」
・「生徒をそに気にさせて、担当も楽しむ映像製作」

ポスター発表・企業展示見学
・「展示を活用した情報表現の授業実践」
・「世界の国々を紹介しよう!」
・「生徒をそに気にさせて、担当も楽しむ映像製作(デモ編)」
・その他企業展示

口頭発表(2)
・「プライベートクラウドによる生徒・家庭・教職員をつなぐCHaT Net」
・「授業で行うポスターセッション」
・「ソーシャルリーディングを活用したアクティブラーニング」

今年度の研究大会も多くの刺激を受けた。以下にメモを残す。

【1】講演会

特許や著作権の歴史的な背景がとても勉強になった。特に、欧米での特許は国王から特別に認められた権利という国家権力統治の形で発展したのに対し、日本では職業別組合(≒ギルド)による村社会統治の形が続いていた点だ。その後、日本はベルヌ条約に加盟するべく著作権法を制定したとの解説であった。授業に活かせるかは難しいが、著作権観を理解する背景知識として重要だと理解した。

著作権法に関する様々な説明は初心者向けだったので細かい話は省略されていた。情報科教員の著作権に関する法的理解が課題だと感じた。

最後の指摘が非常に印象的でした。聞き間違いだったらゴメン。

  • 法は社会の変化を見極めてから変わる
  • 教育は社会の変化に先んじて変わる

【2】三原色と混色

光の三原色と色の三原色は情報科の授業でよく取り上げるのだが、その詳細の入口が提示された。加法混色に種類がある事を初めて知り、納得感があった。生徒にさせる実習も簡易なものなので、まねができそうだ。参考文献もあるので自分も学びたい。

【3】ラーニングピラミッドとアクティブラーニング

ラーニングピラミッドはググれば状況は良く分かる。発表ではアクティブラーニングの手法が紹介された。細かい気配りのある実践報告で、取り入れるには工夫が必要だと感じた。ラーニングピラミッドは自分の経験則にも合致しているので、何とか理解度を高める授業を展開したい。情報科教員というより、純粋に教員として勉強になった。

【4】企業展示の教科書会社

決戦前夜の6社揃い組。(発行者番号順)

水面下の準備が大詰めを迎えており、出版社の方々が笑顔で立ち話をしているのが印象的であった。つばぜり合いなのか、余裕なのか。4月からが楽しみである。

2012年2月20日 (月)

高校数学・新課程統計分野研修会2012冬 参加報告

(M)

高校数学・新課程統計分野研修会2012冬に参加しました。

個人的に「勉強になった」と感じた事をメモします。

■1.大淵先生
「数学1Aの「課題学習」を通じた対策」として「データの分析」が実は救世主であるとコメントされました。その理由は

  1. 最後にデータから「判断」をしなくてはいけない。
  2. 問題解決力をつける大きなポイントになる。

の2点です。高校数学では解答は一つであり、解き方に別解が存在する程度ですから、結論を学習者が「判断」することはありません。高校数学という環境で高校生が「判断」や「問題解決」を学びとるのはほとんど不可能だと感じます。しかし、統計であれば意思決定が必要になりますから、統計が数学における「課題学習」の回答となる可能性があります。とても共感できる内容でした。

■2.渡辺先生
相変わらず熱弁をふるっていました。その中で、

Big Data の時代に合わせた統計教育

とのコメントは情報科教員としてとても大切な観点だと感じました。クラウドやらBig Data やらのキーワードを使って情報社会の授業を展開するのも良いと思いますが、それを支える科学や技術に触れる事も大切です。数学科との関連も踏まえると、情報科教員が統計学を学ぶ価値は高いと思いました。

余談ですが、統計が活躍する映画「マネーボール」を一生懸命に紹介されていました。渡辺先生ご自身は野球をあまりご存じないように見受けましたが・・・

■3.芳賀先生
実務的な話を聞く事が出来て貴重な体験でした。メモが取れたのは、

  1. 表計算ソフトでは小数点の位置を揃えてデータを見やすくする事
  2. ROUND関数を単純に使うとデータに偏りがでるので、丸める桁が偶数の場合は切り捨て、奇数の場合は切り上げる事
  3. 因果関係のあるデータをグラフにする場合は、原因を横軸に、結果を縦軸に取るのが標準的である事
  4. 因果関係のないデータをグラフにする場合は、予測したい変数(例えば体重)を横軸に、予測に用いる変数(例えば身長)を縦軸にとるのが標準的である事
  5. 散布図に書き込む楕円と相関係数rの関係

です。情報科の授業でエクセルを使うことがありますが、実際の運用に関しては知らない事が多いのが実情だと思います。芳賀先生が書かれた書籍も購入しようと思っています。

■4.竹内先生
やや内緒の話を聞きました。

■5.高橋先生
大変熱血な話を聞くことができました。紹介された模擬体験は消化するのに時間がかかりそうです。今回は若干別の観点から印象に残った事をメモします。

  1. 問題と課題の違い
    問題:基準と現状のギャップ
     *原因があり原因を追及して予防する
     *解析(原因追究)が決め手である
     ★現状を基準に是正する事が問題解決である

    課題:希望と現状のギャップ
     *原因はなく条件を創造して実現する
     *設計(条件創造)が決め手である
     ★現状を希望に引き上げることが課題達成である

情報科教育界隈では「問題解決」や「課題解決」といった言葉が良く聞かれますし、新課程における「情報の科学」の内容はザ・問題解決と評される事もあります。しかし、いわゆる「解決系」の話題の本質を聞いた事はありませんでした。高橋先生のコメントは今後の情報科教育にとって重要な意味を持つと感じています。

今後、高等学校の情報科教育でどちらをどのように取り扱うのかは分かりませんが、両方とも大変にタフな話題だと思います。

■まとめ
高等学校の情報科教育を振り返ると、最初の10年は「問題解決」だったかもしれません。教育環境を構築する事が先決ですから、現状を分析して問題を発見し様々な対応をしていたと思います。私自身も、他教科と同様の教育環境という基準を目指していた気がします。

今後の10年は「問題解決」だけでなく「課題解決」も必要になると思います。高等学校における情報科教育の現状を、希望に引き上げる中心人部は情報科教員なのですから。

(`・ω・´) キリッ

2011年12月29日 (木)

第1回情報学教育推進コンファレンス

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(T)

情報学教育関連学会等協議会の発足に伴い開催された第1回情報学教育推進コンファレンス(PDF)に参加した。

この協議会は学会等の団体を会員とする協議会である。発足時の加盟団体は

  1. 日本情報科教育学会
  2. 日本教育工学会
  3. 教育システム情報学会
  4. 情報処理学会
  5. 情報学教育研究会

である。1.~4.は有名どころで情報科教員なら一度は名前を聞いた事なる学会であり、5.は代表世話人である松原先生が主催の研究会である。

メインイベントはパネルディスカッション形式の公開会議。

公開会議 (パネルディスカッション方式)
テーマ:情報学教育の中長期的な展望

登壇者
 永井克昇(文部科学省 視学官)
 岡本敏雄(日本情報科教育学会 会長)
 永野和男(日本教育工学会 会長)
 前迫孝憲(教育システム情報学会 会長)
 筧 捷彦(情報処理学会 情報処理教育委員会 委員長)
 河野卓也(情報学教育研究会 副代表)
司会
 松原伸一(日本情報科教育学会 副会長,情報学教育研究会 代表)

豪華登壇者である。別の意味で奮起した。

1.ポジショントーク(7名)

歴史も趣旨も異なる団体がそれぞれの立場から思い思いの事を話していた。基本的にはバラバラ感を確認した感があるが、これは自然な事である。

ブログに残しておきたいのは、時間やらスライドやらポジショントークが残念だった事だ。各団体の所信表明的な意味合いもあるのだろうが、実質的に言いたい放題と言ったところ。発表時間のバランスは残念だったし、相変わらずプレゼンテーションスライドは一部を除いて残念だった。

ポジショントークの内容にも疑問が残る。以下、列挙する。

(1)文理融合の情報学

ウッズホール会議に出席した人の専門分野は文16、理16、芸術2であったことを踏まえ、情報科の親学問としての情報学は量的(≒理系的)と質的(≒文系的)のハイブリッドであろうという提案があった。情報学を学際的に捉えるというベクトルは正しいと自分も信じている。

しかしながら発足時の加盟団体の色合いからは文・理・芸のハイブリッド感は見えない。フロアからもこの点は指摘されていたが、今後の課題であるにとどまった。今後を見守りたい。

(2)センター試験との関係

教科情報をセンター試験に入れることで、きちんとした教科として認められるとの発言があったが、私は大いに疑問だ。保健体育科の保健や芸術科の音楽・美術・書道・工芸、家庭科は情報科と同じ必履修科目ではあるが、これらはきちんとした教科として認められていると考える。情報科の評価が低いのはセンター試験に採用されていないからではなく、その授業内容に課題が山積しているからだ。(他教科に課題がないという意味ではない)

必要悪といった政治的な手法の是非はともかく、政治的な立ち回りがかえって情報科の状況、ひいては情報科の授業を受ける生徒達にとってマイナスになることを憂慮する。

(3)授業内容の話

教育中央審議会や学校内、世の中からは、情報科に対して利活用を教える事が支持されていて学問的な内容は支持されなかったという報告があった。

しかしながら、「だからどうである」という主張が無かったのが疑問だ。様々な調査や統計資料から現状把握は出来たとしても、ブレイクスルーは起こり得ない。

情報科は普通の人達だけでなく情報科関係者にとっても未開の地である。外野の言動に振り回されているほどの余裕はない。授業を受けた生徒達や授業を見た人達が「日本には情報科教育が必要だ」と思えるような授業をすることの方が先決である。授業というコンテンツが無ければ、政治的な立ち回りは無様なだけである。

(4)教員養成課程の話

他のポジショントークを受けての形になっていたが、情報科教員の養成課程が抜けているという指摘があった。小中高でK-12を考えるのではなく、小中高大のK-16を考えるべきだとの主張だ。

確かに、大学を卒業して就職する人が多い事を考えると、広い意味での人材育成という観点から小中高大という一気通貫は重要な理念である。

しかしながら、「他教科でも一気通貫は実現していない」だけでなく、「教員養成が大学の4年間で十分とは考えにくい」と考える。情報科で扱う内容は多岐に渡る深い知識と技術が必要だ。「社会と情報」と関係の深そうな10の専門分野 ※ただし理工系を除くでもコメントしたが、大学4年間でカバーできることには大きな疑問符がある。数学科の学生が数学の教員免許を取得するのとは状況が随分事なるのだ。

(数学科でさえも大学4年間で間に合っているか、個人的には強い疑問を持っているのだが・・・)
:-P

2.質疑応答

質疑応答の時間はあったのだが、フロアからの質問には答える時間は全くなかった。コメント言いっぱなしであり、質疑応答ではなかった。

結果、公開会議ではなかった。
残念・・・┐(´д`)┌

■まとめ

このコンファレンスに対して参加者は様々な事を感じたと思う。(私のように否定的批判的な感覚が強い人は少ないかもしれないが・・・)

そんな私が「別の意味で奮起した」の意味であるが、「世代交代しないと情報学教育分野は開拓できないよ」という御大世代からのメッセージだと受け取ったからだ。

情報学教育に携わる者として襟を正す思いをしたコンファレンスであった。

(`・ω・´) キリッ

(T)

2011年10月18日 (火)

第4回日本情報科教育学会全国大会 簡易レポート

[情報科] ブログ村キーワード


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(2011/10/20 追加)


(M)

第4回日本情報科教育学会全国大会に参加しました。都合により初日だけ参加です。

最初は日帰り出張の予定でしたが、検討の結果、一泊出張になりました。旅行業者に相談したところ、一泊出張の方が安いそうです。理由は不明ですが活用させてもらいました。

発表に関しては阿濱先生のアドバイスに従って「提案型プレゼンテーション」にしました。学会ですから研究の成果や課題提案が求められます。この事を意識するだけで発表が有意義になると思います。授業実践報告は都高情研などのイベントで行い、研究発表や各種提案は日本情報科教育学会などのイベントで行うと盛り上がることが確認できました。

発表内容に対して要望が何点かあり、いろいろと期待されていると感じました。今後は提案だけでなく勉強会や研究会の講師役やコーディネーター役も引き受けようと思います。時間はかかるかも知れませんが、一つ一つ実現してみたいです。

時間の都合でポスターセッションと企業展示は少し見ただけでした。一般発表や企画セッションの時間と重複しているので、スケジュール的に厳しい状況だったと思います。次回からはポスターセッションや企業セッションに集中できる時間帯が設定されるとよいと思いました。

懇親会は学生のアカペラあり、教員のシャンソンあり、地元特有の食事ありと、色々と楽しむ事も出来ました。何人かの先生と本音トークが出来たのも収穫です。

最後になりましたが、西端律子先生の心意気に感謝します。

(2011/10/20 追加)

一般発表のとき、発表者に見えるようにタイマーが設置してありました。とても助かりました。タブレットだったと思います。年々、プレゼンテーション環境が進化することを感じました。

(M)

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